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僕の公務員試験全記録

以前受けた公務員試験の受験記録を掲載しています。 参考になれば幸いです。

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2-3.口述試験対策(面接&集団討論)

 面接対策が一番大変であった。筆記試験の学習で大いに参考にした「イエロー本」などにおいては、面接試験と論文試験は軽視しており、その意味では世の流れを読み違えていると言わざるを得ない。面接が総合点中1/8しか占めない国家Ⅱ種を念頭においての記述だから仕方がないが、その他の公務員試験、特に地方上級などでは筆記の何倍もの点が口述試験に振り分けられている。つまり「イエロー本」にあるような準備では大半の試験で通用しない。また、それを知った時の僕自身の絶望もとてつもなく深いものであった。
 まず、一番の心配は「志望動機」と「前職の退職理由」であった。志望動機は全受験者が避けて通れず、退職理由は職歴保持者が絶対に逃れられないものである。正直言って僕の公務員試験は終始この2つとの戦いだったと言ってよいと思う。

●退職理由
 僕の正直な退職理由は「もう無理だと思ったから」に尽きる。
見ての通り全く持って後ろ向きの理由であり、前向きのカケラすらない。主観的に見ても、客観的、一般的に見ればなおさら、「逃げた」わけであり、このことは僕自身の中で非常に苦い記憶として受験期間中ずっとあったし、これからも心の中にあり続けるだろうと思っている。

 そんな気持ちを抱えながら勉強はとにかく続けておかなければならなかったが(公務員試験に対する志望が固まってから動き出すのは遅すぎると思ったのだ)、一つの転機を迎えたのは2月ごろに松井秀喜の『不動心』を読んだことであった。
 松井は一昨年に彼の野球人生において初めて大きなケガをした。左手首骨折である。一般的に見れば野球選手がケガをするのはほとんど当たり前のことであるが、松井にとってその骨折は初めてであっただけに非常に重くのしかかったそうである。治療をしても結局骨折した箇所は以前と同じようにくっつくわけではない。ケガと一生付き合っていかなきゃならないんだな、ということを受け入れた時、松井はこう考えたそうである。

 「ぼくは、自分が引退する時に左手に向かって『おい、あの時骨折してよかったよなぁ』って言ってやりたいんです。」。

 今、手元に本がないので覚えている範囲で再現してみたわけだが(都合よく覚えてるだけかもしれない)、率直に言って僕はこの言葉に救われた。「ああ、そうだ。辞めたのはもうしょうがない。僕も『あの時辞めてよかった』と言えるように頑張ろう」とそう思えたのである。あの時、こういう風に発想の転換ができなかったら今こうして合格を噛みしめるなんてことはできていないと確信している。

 「辞めたんだからしょうがない。僕にあるのは約9ヶ月の職歴だけだ。」と思えてからはかなり開き直って取り組めたように思う。大学の就活では手にも取らなかった中谷彰宏の『面接の達人』(ダイヤモンド社)をバイブル版も転職版も買ってきて、中に書いてあったようにまずは「短い9ヶ月の自分の会社生活を原稿用紙100枚を目標にとにかく具体的に書いて振り返ってみること」を始めた。実際にはwordで書いたが、400時詰め原稿用紙に換算すると83枚くらいは書けた。あったことだけではない。その時どう感じたか。こうすればよかった、とかもっと細かな感情なども今までの自分がブログに書いていた日記や入社して3ヶ月くらいは真面目に書いていた仕事日誌などを史料のように掘り起こしながらとにかく分量を書いた。やってみて初めて、9ヶ月間、別に全く無駄なことをやったわけじゃなかったんだ、ちゃんとたくさん学んでいたんだと思えて少しは自信がついた。また、話すだけのネタはすべて挙げたわけで退職理由もこの中から当時の思いに忠実に、建設的で後ろ向きでないものをつくっていけばいいんだと考えられたのも助かった。

 東京都の1次試験が終わってから、かねてより目をつけていたわが県の県庁所在地のTAC提携予備校の面接対策講座の門を叩いた。前職の営業ではほとんど経営者と面談していたため話すことができないとは思っていなかったが、何より中身が心配だったのである。自分が考えたもので人を納得させられるのか、それだけが心配であった。
 その講座は1人の講師がほぼ専属でつき、基本的にはマンツーマンで指導するというものであった。最初は週2回のペースで指導を受けに行った。最初の指導では満足な志望動機すら言えず、退職理由も取り繕ったものを言い「君、嘘はいわんでええよ」と言われた。退職理由では下手にいろいろ隠してそれらしく言うよりも自分の中にあった矛盾などを素直に話してもよいとのアドバイスを受けながらだんだんと自分なりに考えを深めていった。退職理由については最終的に嘘などをつくことなく、在職中に感じた思いを伝えられるように仕上げられたと思っている。

●志望動機
 退職理由と同じように、いや、それ以上に困ったのが志望動機であった。
 僕の第一志望は東京都だったので要するに「なんで東京都で働きたいの?」ということに答えられないといけないわけである。しかしこれがなかなか難しい。最初などは「最先端だから」とか「かっこいいから」とかそんな理由から考え始めた。そのうち、「都でしかやっていない政策を見つけてそれを言うのが一番いいよ」とのアドバイスを受け、そっちの方向で考え始めてはみたものの、よく考えれば都でやれば他の自治体だってそれを参考にする。名前こそ違えど中身は同じような施策ばかりなのである。
 かといって、本当に都でしかやっていない施策を見つけて、志望ではないけど見つけたものを無理矢理言うというのも本意ではなかった。大体、転職しようとしている奴が「公務員なら何でも…」などと言ってるのは愚の骨頂だと思っていたからこの志望動機は意地でもクリアしたかったのである。

 そんな時、再び考え直すきっかけに出会った。この頃の僕は誰かの解答例を求めてネットを彷徨っていたのだが、その中でひっかかったのが喜治塾主催の喜治さんのブログのある記述であった。

 「公務員試験を受けるに至った動機など、極端に言えば、何だって良いのだよ。…ネット上で、いい志望動機ないかなあ・・・?なんて探している間はムダなだけです。さ、パソコンを閉じて、ノートを開き、ペンをもとう。姿勢を正して、必死に考える。自分自身と語らうというのは、かなりのエネルギーのいる消耗戦です。ガンバレ。」(若干改変)

 あ、そうなんだ。じゃあもっと素直に考えようか。こう方針転換ができたのは非常に大きかった。志望動機にあれだけ苦しんでいた僕は結局、東京都の説明会に参加して感じた素直な気持ちを根本に据えることにした。自分なりの志望動機を大急ぎでまとめた。そのすぐ後に模擬面接(講座では毎回模擬面接みたいなもんだった)があった。そこで直前にようやくまとまった志望動機などを話した。なぜか笑顔も交えて生き生きと話すことができた。終わった後はなぜかめちゃめちゃ褒められた。準備はまだまだやることがあったけれど、これはもしかするとイケルかもしれないなと思えたのだった。

※補足1
 『現職人事が書いた 面接試験・官庁訪問の本』(実務教育出版)にもたくさん出てくるが、志望動機に付随して、

「なぜ公務員か」
「民間での転職は考えなかったのか」
「同じ公務員でもなぜ地方公務員なのか」
「国の方がそういう仕事はできると思うが国家公務員は考えなかったのか」
「地方ならなぜ県庁なのか。市役所は考えなかったのか」

 などは容易に予想される質問だが、これらが一番困った。僕は先輩に東京都の志望動機を聞いてもらったときに、「でもそれじゃあなんでわざわざ東京都を受けに来たの?君の近くなら大阪とかだって大都市だし似たような問題を抱えてると思うけどなあ、って切り返されるかもよ」と言われしばらく途方に暮れた覚えがある。
 ただ、いろいろ毎日考え続けた結果、似たような特徴を持つ都市でも「そこに住んだことがあるかないか」ということは志望度合いに相当な影響を与えるのではないかという結論に至った。だから、たぶんもし本番で「大阪は?」と聞かれていたら僕は「住んだことがないので自分の中でやりたいことのイメージが湧きません」などと返してさらに突っ込まれたとしても、なんとかする自信があった。やりたいことなどを志望動機の後に聞いてくるわけだからやりたいことが浮かばないようなフィールドはそもそも志望ができないということに明快につながるのではないかと思っている。
 
●自治体研究
 次は政策対策。論文でもそうだが、面接ではより一層政策を知らねばならない。しかも、僕の通っていた面接対策講座は東京都からあまりにも遠かったので都の事情には先生ですら疎く、これは自分でやるしかないな、絶対頼れない、と思っていた。
 政策を学ぶために重点施策などを丸暗記、という方法もあるらしいが実行はせず。その代わり、Wセミナーの面接対策講座で「情報収集はHPをどんどん開いていけ」と言われたことを実行した。最初はあまり欲張らずに自分の志望する分野2つくらいに絞って、しかしその2つに関わるものならどんどんいろんなページを開いていく、という感じで情報収集を進めた。いろいろと分野を絞って調べているうちにリンクするほかの分野も出てくるので、そうなったら「しめた!」と思って手を広げていった。
 対策講座の中では、行ったことも住んだこともない土地の自治体(警察の話だったが)を受験した人がこのやり方でHPを隅々まで調べあげていったら面接で「あなたほどウチに詳しい人はいなかった。ぜひウチに!」と言われたそうである。そこまでのレベルに行くのは大変だとは思うが、東京都に限らずHPの充実を図っている自治体は多いので使わなければ損だと思った。
 また、最近は知事の会見の様子が動画で配信されるところも多い。東京都はもちろん、僕が受験した県にもそうしたページがあった。知事の記者会見においては地方でも地方紙の記者などが鋭い質問を浴びせようと頑張っており、いわば知事との真剣勝負の場なのである。これは知事の人となりを知る格好の資料になると思うのである。やはりこういう機会できちんと受け答えができないとか、迫力のない知事には幻滅してしまう。そういう意味でも自分の志望度を現実的に考えていくのにも少なからず役立った。
 また、会見の冒頭に「知事からのお話」がある時は、その自治体において今「最もホットな話題」が登場する。民間でも同じだが、トップの関心がどこにあるのか、今その組織で何が一番重要視されているのかを把握しておくのは効率のいい情報収集の仕方であると思う。そして何よりトップの視点を持つことは試験対策だけでなく、今後にも役に立つと感じた。特に、自分が面接で提案する政策(プロジェクト)についてはトップの視点で考えることが第一歩になると思ったからである。

●想定問答について
 予想される質問については、公務員試験特有の質問は『現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本』(実務教育出版)を参考に、その他は『面接の達人 転職問題集』(ダイヤモンド社)を使用しなるべく多くの質問について一度は考えるようにした。『現職人事』本だけでなく、『転職問題集』を使用した意義は、転職に関するあらゆる質問に対応するところにある。前述した「なんで前職を辞めたんですか?」に代表されるものであるが、この「なんで辞めたの?」系の質問のバリエーションは広く、聞き方を変えられればまんまと罠にはまる可能性もある。そのため周到な準備が必要だと考えたのである。

 想定問答はなるべくたくさん紙に書き出した。書き出した質問として具体的には、『現職人事』本の第4章に載っていた質問はすべて、『転職問題集』からは自分に関係ありそうなものや聞かれたらいやだなと思うものを書き出した。それらについての解答として、できるかぎり短く(基本的には一言で)答えられるように考えていった。かっちりそれぞれ200字とか400字で考えるやり方もあるんだろうが、柔軟性に欠けると考えそういうやり方はしないことにした。
 なぜ、文章で考えることが柔軟性に欠けると思ったかというと、想定問答集をかっちり文章で考えた場合、問答集に自分が書いたのと同じ聞かれ方をしないとスムーズに話すことができないのではないかと考えたからである。
 つまり、面接本番でかなり硬い雰囲気の中で「では、あなたの志望動機をお聞かせください」と聞かれれば、「はい。私がこちらを志望した理由は~」とつらつら200字くらいでしゃべるのは何の齟齬もないのだが、最初のアイスブレイク的な会話でかなり盛り上がった後、パッと「でさ、なんでウチがいいの?」と聞かれたときにいきなり固い口調で200字くらい話すというのはコミュニケーションとしてなんとなく成立していないように感じるのである。
 これを、できれば臨機応変に話の流れに合わせて展開したい。
 そのため、僕は基本的にすべての質問に一言で答えられるように解答を考えていった。長くなるものについてはキーワードだけ覚えておくようにした。全くなじみのない人のプロフィールを喋らなきゃいけないのなら相当な暗記が必要だが、喋るのは自分のことである。キーワードだけ覚えておけばそれについての詳しい話は後からいくらでも口をついて出てくる。よく言われるように短いものは長くできる。
 あとは、長くした時に言うための詳しいエピソードをなるべく簡潔によく伝わるように自分なりに加工しておくぐらいである。これは案外大事な作業で、自分では一晩中喋れるような事柄でも、短く喋るためには準備していないとすぐにはできない。よく言われることだが、短いものを長くすることはできても、長いものをその場で短くしながら喋るのは至難の業である、ということを痛感した。

 このように、想定問答集といってもかっちりしたものは作らず、質問だけワードで書いた紙を印刷して持ち歩き、常に何個か頭の中で考えている状態にしていいフレーズが浮かんだらそれをすぐに書きとめて「一言の答え」を磨き上げていくようにしていた。特に答えにくい質問や現段階では答えが出来上がっていない質問は常に頭の中に入れておき、絶えず考える。頭は休まらないし、疲れるし、精神的にもしんどいが、長い間考えたものほど練り上げられると思う。思い浮かんだものは白い紙かなんかにその都度書き出していってまたそれらをヒントに考えていくのが自分なりの答えをつくるための僕にとっては一番の方法であった。

 その他、想定問答を考えるための参考としては、他人のブログや、LECのデータベースなどを参考にした。特に面接再現シートは登録も簡単ですぐに閲覧にでき、幅広く情報を集めるのに大変役に立った。データは少々古いがそこはしょうがない。
リンク→ http://www.lec-jp.com/koumuin/useful/interview/index.html

●集団討論
 模擬集団討論に参加してみて感じたのは、これは予め模擬集団討論をやっておくのが受験上の最低限のマナーであるということだった。
 僕は本番までに2回模擬をやったが、一度は経験のために司会をやった。ヒラの参加者としても、司会のときも一番心がけたのは、「議論を盛り上げること」だった。抽象的な議論が続いている時は、もっと具体的に話し合えるようあるケースを持ち出してみる。そこでしばらく具体的な議論をした上でもう一度抽象的なテーマに戻れば具体例で考えやすくなっている分、また新たな意見も出てくると感じた。

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